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わかりやすい漢方薬解説・漢方理論解説

●補血剤(ほけつざい)について

補血剤(ほけつざい)とは血を補う漢方薬のことであり、血虚の改善にもちいられます。補血剤を構成する生薬は主に血を補う補血薬(ほけつやく)、補われた血を身体に巡らす活血薬(かっけつやく)、血の原料にもなる気を補う補気薬(ほきやく)などです。補血薬以外の性格を持つ生薬が組み合わされることで、補血剤の対応範囲が広がり実用性も向上します。


代表的な補血薬には地黄(じおう)、芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、阿膠(あきょう)、酸棗仁(さんそうにん)、竜眼肉(りゅうがんにく)、小麦(しょうばく)などが挙げられます。前者の地黄、芍薬、当帰などは厳密には肝の血を補い、後者の酸棗仁、竜眼肉、小麦などは心の血を補います。基本的に肝血を補うことは栄養状態を改善することに繋がり、心血を補うことは精神状態の安定化に貢献します。


有名な補血剤には四物湯(しもつとう)、芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)、七物降下湯(しちもつこうかとう)、当帰飲子(とうきいんし)、さらに酸棗仁湯(さんそうにんとう)、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などが挙げられます。


特に四物湯は他の補血剤の骨格となったり、他の漢方薬に補血作用を付加する目的でも活躍します。具体的には加味逍遥散合四物湯(かみしょうようさんごうしもつとう)や猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)、名前に「四物湯」は入っていませんが黄連解毒湯(おうれんげどくとう)に四物湯を合わせた温清飲(うんせいいん)などが有名です。


四物湯、芎帰膠艾湯、七物降下湯、当帰飲子は肝血を補う生薬をより豊富に含んでいるので体力を改善したり、身体に潤いをもたせることを得意としています。一方の酸棗仁湯、甘麦大棗湯は心血を補う生薬が中心となっているので、情緒不安定や不眠を改善します。

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文・女性とこどもの漢方学術院(吉田健吾)